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Kleinunternehmer 規定 — 売上閾値と判断軸(2026 年版)

最終確認 2026-06-17

結論

**Kleinunternehmerregelung(小規模事業者規定)**は、ドイツの自営業・フリーランスのうち年間売上が一定以下の人を 付加価値税(USt / Umsatzsteuer / VAT)の納付義務から免除 する制度です。

2026 年の閾値

基準金額
前年(2025 年)の総売上≤ €25,000
当年(2026 年)の予想売上≤ €100,000

両方を満たすと Kleinunternehmer の地位を維持できます。1 月 1 日時点で前年売上を確認して判定。

2025 年の改正で大幅引き上げ:従来は前年 €22,000 + 当年 €50,000 でしたが、2025 年から €25,000 + €100,000 に。フリーランスにとって大きなメリットになりました。

メリット・デメリット

メリット

観点内容
事務負担激減月次/四半期の VAT 申告が不要
請求書がシンプルVAT を含めず売上額のみ記載
個人顧客に有利請求額がそのままなので競争力
会計ソフトの簡易化仕訳が少なく税理士費用も抑えやすい

デメリット

観点内容
Vorsteuer 還付不可経費に含まれる VAT を取り戻せない
企業顧客に不利顧客側が VAT を経費計上できないので避けられることがある
規模拡大の足かせ閾値超過すると即座に通常課税に切替
国際取引EU 外との取引で複雑性が増す

どんな人が Kleinunternehmer に向くか

向くケース

  • 個人顧客中心(コーチング、講師、芸術家、コンサル等)
  • 経費比率が低い(人件費・サブスク中心、物販無し)
  • 副業 / 移行期(フルタイム雇用 + 小規模副業)
  • 海外送金中心(日本企業からの請求が多く、EU 内取引が少ない)

向かないケース

  • 企業顧客中心(B2B サービス、コンサル契約)
  • 設備投資・経費が大きい(PC・ソフトウェア・出張 等)
  • 規模拡大予定(年内に €100,000 を超える見込み)
  • EU 内取引が多い(Reverse Charge の管理が複雑になる)

閾値超過時の対応

ケース 1: 前年が €25,000 を超えた

→ 翌年 1 月 1 日から 自動的に通常課税に切替。VAT 申告開始。

例:2025 年に €30,000 の売上 → 2026 年は通常課税

ケース 2: 当年に €100,000 を超える見込み

超えた瞬間から通常課税(残りの請求書に VAT を含める)。

例:2026 年 8 月時点で売上 €95,000 → 9 月の請求書に €5,000 → €100,000 を超えた → 9 月以降は VAT 込みで請求

ケース 3: 自発的に切替

Kleinunternehmer は 任意で 5 年間継続する義務がありますが、5 年経過後は次の Fragebogen で通常課税に切替可能。

請求書の書き方の違い

Kleinunternehmer の請求書(VAT 免除)

件名: ウェブサイト制作費

請求金額: €1,000

備考: Gemäß § 19 UStG enthält der ausgewiesene Betrag
       keine Umsatzsteuer.
       (§19 UStG により、本請求額には付加価値税は含まれません)

通常課税の請求書(VAT 込み)

件名: ウェブサイト制作費

純額: €1,000
USt (19%): €190
請求総額: €1,190

USt-IdNr: DE123456789

ja 特有の注意点

1. 日本企業との取引

日本企業向けの請求書(国外向け取引)は、Kleinunternehmer / 通常課税問わず VAT 不課税になることが多い(輸出取引扱い)。判断は複雑なので税理士に確認。

2. EU 内の B2B 取引

ドイツ国内の事業者向けは通常 19% VAT 適用。EU 他国の事業者向けは Reverse Charge(受領者側で VAT 申告)が原則。Kleinunternehmer は EU 他国に対しては「適用なし」と明記が必要。

3. 5 年間の継続義務

一度 Kleinunternehmer を選ぶと 最低 5 年間継続する義務。途中で「やはり通常課税にしたい」と思っても切替不可。最初の選択を慎重に。

4. 日本帰国時の影響

ドイツでの最終年に閾値超過すると、その年だけ通常課税になる可能性。帰国予定がある場合は税理士と相談して、最適なタイミングを設計。

5. KSK(芸術家社会保険)との関係

KSK 加入者でも Kleinunternehmer は併用可能。芸術家のうち売上が小規模な人は両方適用するケースが多い。

自分のケースで確認すべき点

  • 前年(2025 年)売上が €25,000 以下か
  • 当年(2026 年)売上見込みが €100,000 以下か
  • 主な顧客が個人か企業か
  • 経費比率(高ければ通常課税が有利)
  • EU 内・国外取引の頻度
  • 規模拡大の予定(年内 vs 中長期)

FAQ

Q1. Kleinunternehmer を選ぶか通常課税かは Fragebogen で決まりますか?

A1. はい、Fragebogen zur steuerlichen Erfassung の該当セクションで選択します。後から変更は手続きが必要。

Q2. 副業として小規模事業がある場合は?

A2. 副業の売上のみで判定。本業(雇用)の給与は対象外。

Q3. 配偶者の収入は影響しますか?

A3. しません。自分の事業売上のみで判定。

Q4. 個人事業主と法人で扱いは違いますか?

A4. Kleinunternehmer は 個人事業(Einzelunternehmen) 向け制度。法人(GmbH 等)は対象外。

Q5. VAT 免除なら所得税も免除ですか?

A5. いいえ。所得税(Einkommensteuer)は別制度で、通常通り課税対象。

Q6. 閾値が将来また引き上げられる可能性は?

A6. 直近では 2025 年に €17,500/€50,000 → €22,000/€50,000 → €25,000/€100,000 と段階的に引き上げ。インフレに応じた調整が続く見込みですが、近年中の追加引き上げは未定。

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